過去ファイル

平成22年7月

1.日本という国について

 日本という国は、世界の中でもとても際立った国です。非常に長い歴史と伝統、独特の文化を持っています。四季があり美しい国です。日本人も誰とでも溶け込み、勤勉で、平和主義者です。このよいところを伸ばしていくべきだと思います。日本が日本的であることが、世界に貢献できることでもあるように思います。ここ20年くらい西洋的というか、自分がよければいい、勝てばいい、出し抜ければいいというような価値観が、比較的強かったように思います。今は日本的価値観、東洋的価値観を見直し、例えば、環境であれば環境をコントロールするのではなく、自然と共生するというような方向に、変えていくべき時代が来たと思っています。

2.自由が大切だということについて

 人には人それぞれの価値観があります。国が一定の価値観を押し付けるような時代ではありません。自由とそれを支える自律と自立、民主主義とそれを支える言論の自由は、なによりも大切なものであると考えています。ややもすると今の時代は、何でも規制しよう、管理しようと、行き過ぎているようにも感じています。規制や管理を強くすると、安全度は上がりますが、新しいものは生まれず、活気が無くなり、社会を維持する費用もたくさんかかります。私は大きな政府が好ましいとは思いません。人々の活動は、出来る限り自由に行うべきだと考えています。しかし、自由は、自分で自分の行動を律すること、自分で考え判断することも求められます。それがなければ、やっぱり規制が必要ということになってしまいます。皆さんはどっちがいいとお考えですか。社会は責任ある個性をもった人の集団であるべきだと思っています。

3.今しっかりしないと植民地のようになってしまうということについて

 今の政治や政治家、お役所を見ていて一番歯がゆいのは、内弁慶だということです。外圧には弱く、国民には厳しい。穿っているかもしれませんが、私にはそう見えて仕方がありません。弱きを助け、強きを挫くが基本路線だと思います。また、主張するところ妥協するところが、まったくチグハグで戦略もまったくありません。先月のフィリピンのODA関係で、知り合いの人が日本政府のオブザーバーで会議に出たそうです。会議はフィリピン政府と、複数の韓国企業で行われ、じゃよろしくと言われたそうです。よろしくの意味は、日本政府にお金をよろしくの意味です。冗談じゃないと思います。こんな話をすれば切りがありません。この不景気に、銀行は国内の企業には貸し渋りますが、ファンドを通じて海外に投資しています。国民の資産は、どんどん海外に投資され、国内の企業はそのお金で買われていきます。自分のつくった紐で自分の首を括ろうとしているのが今の日本です。一部のお金持ちを除いて、一般の皆さんは、働いても働いても楽にならない構造が出来ています。挙句の果てに、このままだと国の破綻は時間の問題です。この国の未来を担っている人たち、会社の経営者やお役人、政治家などの性根を入れ替えてもらわないとダメです。

4.教育の重要性について

 どういう問題を議論していても、結局は人の問題、教育だよ、という話に落ち着くことを多く経験しました。個々の政策としてはいろいろあるのですが、重要なことは「自由」に関連して触れましたが、自立と自律が必要だということです。受験のために塾に通って勉強していればいい、というようなものではないと思います。それと、心から本気になれる感動の経験や、短所を無くすのではなく、長所を伸ばすようなことも大切です。富国強兵の時代と違い、同じような人をたくさん作っても、強くもならなければ技術も発展しません。今のところ我が国は、天然資源が豊富というわけではないので、人間が唯一の資源といえると思います。

5.国の根本について

 「環太平洋未来研究所」の会合で経験しましたが、国の根本は非常に単純なものだと感じました。領土があって、そこに人がいて、危急の事態に対応が出来て、政府があって、外の国と対等にやっていけるというようなものです。つまりこれだけのことがちゃんと出来ていれば、一応形にはなるということ、逆に言えば、これだけのことがちゃんとできなければ国ではないということです。まず領土そのものが非常に大切だということです。日本は海に囲まれていますから紛争は少ないですが、北方領土、尖閣諸島、竹島等の領有の主張は、しっかりとしていかなければいけないということです。大切だと思っているので、相手国もしっかりと主張をするのだと思っています。それから人。人は教育の問題そのものです。それから危急の事態への対応です。これには、いわゆる軍備というか国防、エネルギー安全保障、食糧安全保障、21世紀では水や空気、環境、伝染病・バイオテロなどもこの中に入ると思います。これらをどう達成するか、国民が安心納得できる形で示さねばなりません。同時に、行政機構は、迅速に社会情勢の変化に対応できるものでなくてはならないと思っています。今の日本の行政組織はそういう意味からは、あまり機能していません。意思決定があまりに遅く不透明です。また、社会の実態もよく把握できていないように見受けられます。

6.経済の重要性について

 民主党が昨年の9月から政権を担っているわけですが、金融を含めた経済に対して、関心があまり高くないことが、国民の不満の一つではないかと思います。政治としては、向こう100年、200年、国民にどうやってメシを食わせるのかというようなビジョンは、非常に大切だと思っています。そういう意味で、アメリカは、ドルという基軸通貨を持っていますから、赤字になっても簡単には倒れませんが、日本の場合はそうはいきません。産業構造、輸出入のバランス、技術戦略などをある程度、長期ビジョンで立てて実行に移していく必要があります。現代は、民間企業と市場にそこを任せられるほど能天気ではありません。政府が、ある程度方向性を示し、助成することが必要です。アメリカでは軍需産業がその役割を担っています。これらの分野では、頭が固く資本市場に縛られた大企業よりも発想が柔軟で、小回りの効く中小企業、地方の産業に大きな期待をしています。

7.もっと公平でオープンな社会にしなければならないことについて

 行政改革が言われて久しいのですが、私の思う限りでは、一番の問題は、あらゆる点で役人の裁量が大きく、自分たちで好きなように決めてしまうことにあると思っています。まるで一般の国民は馬鹿だから黙っていろといわんばかりにです。これは大きな問題です。プライドの高いのは評価しますが、腐敗の温床になりますし、衆知を集めたほうがよい結果がでるというのは、情報システムの社会では常識になっています。形ばかりのパブリックコメントや自分たちに都合のよい学者や知識人を使って、あたかも公平であるかのように装うのをやめて、本当に広く一般の人の意見と知恵を求めるべきだと思っています。巷には本当によくわかった人がたくさんいます。それは今回のシンクタンクでの議論を通じて理解できたことです。



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